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オイコノミア「経済の摂理」

大月 康弘氏のインタビュー記事より部分抜粋。

エコノミクスの語源を知っていますか。オイコノミア Oikonomia というギリシア語です。
これは、Oikos = 家 と、Nomos = 法律、摂理 が結びついてできました。
古代ギリシアでは、家父長が統べるイエ経済を意味しましたが、2-3世紀、テルトゥリアヌスによって新しい用語となり、巡りめぐって「経済学」となりました。

18世紀に至るまで、オイコス・ノモスは、多様な分野を含んだ、前近代的な「家政」を指していたようです。そこには、動植物についての知識から、農業、林業、気象学、天文学までが含まれていました。テリトゥリアヌスたちキリスト教徒によれば、それはいわば「世界」を統制する神の摂理にもとづく事象であって、「神の家」(宇宙)の摂理ということになるのですね。キリスト教世界的なこの用語を、私は「経済の摂理」と訳しました。

貧困問題や所得再分配論、資源問題など、今日的な問題群も、古来「救済の摂理」に属する主題だった。近代国家の福祉制度も、前近代世界における慈善活動も、同根なのです。哲学的テーマであると同時に、すぐれて現実的課題が、そこにあるのですね。

(中略)

大家族的な家父長制にあっては、「貧困」はイエ経済のうちに解消されています。家父長が一族郎党の面倒をみている世界を想像したらよいでしょう。キリスト教化の進展に伴って、個の意識が浸透し、各個が「世界」に放出される、という大転換が古代末期に進行します。神と向き合う個の叢生(そうせい)です。この世界では、共同体的互酬関係よりも、自律的個人の哲学が優先する。つまり、個人の資質と努力に応じて、世俗的栄達への可能性が開かれるとともに、共同体の保護から解放された分だけ、物質的(=経済的)貧困の脅威にさらされる危険性もでてきたのでした。

その事態を、キリスト教徒の皇帝が「救済」する、という仕組みができあがった。教会が果たす貧民救済の機能に対応し、これに免税措置を与えて、国家=教会の機能的連携ができあがったのです。この仕組みこそが、ヨーロッパの基層文化の根底にあるのです。
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by tomishiba | 2011-04-13 04:50 | ひとりごと

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